海でのカヤック釣りは、陸からではいけない釣り場へ行くことができ、他の釣り人にも邪魔されにくいです。
加えて、魚との遭遇率を大幅に高めてくれたり、普段釣ることのできない魚を狙うことができたりするので、釣り人として「カヤックが欲しい」と考えている方が多いのではないでしょうか?
しかし、カヤック釣りには常に危険が隣り合わせで準備をおこたると事故に発展することがあります。
この記事では、これからカヤック釣りを始めたいと考えてる方、すでにカヤック釣りを始められている方に
安全に釣りを楽しむための必要な知識と装備について紹介していきます。
事故を起こす頻度を減らせると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
海でのカヤックによる事故について
安全にカヤックフィッシングを楽しむために、カヤック事故についてしておきましょう。
事故の種類と件数から、起こり得る事故を想定しておくことで、あなたがカヤックに乗る際の参考になると思いますのでご紹介します。
カヤック事故の件数について
海上保安庁の「海の安全情報」サイト内の海の事故情報によると、令和4年にカヌー(カヤック)で起きた事故内容と件数は多い順に次の通りです。
順位 | 事故の内容 | 件数 | 割合 |
---|---|---|---|
1位 | 運航不能(無人漂流) | 24 | 41% |
2位 | 運航不能(操船技能不足) | 20 | 35% |
3位 | 運航不能(荒天難航) | 3 | 5% |
3位 | 浸水 | 3 | 5% |
3位 | 衝突 | 3 | 5% |
— | その他 | 5 | 9% |
海上保安庁ホームページより引用
20230609_state_measure01.pdf (mlit.go.jp)
一番多い事故は運航不能による無人漂流24件で、次いで操船技能不足の20件、荒天難航と浸水、衝突が同率で3番目に多い事故となっています。
全体の約80%が運航不能という状態です。
事故を起こさないためにできること
どんな事故が起こるのか理解したうえで、
カヤックで事故を起こさないためにできることは次の通りです。
- カヤック操船について勉強・練習をする
- 波と風の予報・警報を確認する
- 白波が立っていないか確認する
- 予報と違うと感じたら出艇を諦める
- 潮流が速い場所を事前に把握しておく
命に直結するので、細心の注意を払うようにしてください。
カヤック操船について勉強や練習をする
カヤック事故を防ぐためにの操縦について理解をしておくことが大切です。
先述したカヤック事故の多くは、操船技術不足による運航不能が原因になっています。
パドルの持ち方、船体の進行・旋回方法について勉強・練習をしておかなければうまく操縦するのは難しいでしょう。
初めから自転車に乗ることができないように、カヤックも練習が必要になります。
カヤックを乗る際の知識や操縦方法を事前に勉強・練習することで、事故を起こす確率をグッと減らすことができます。
いきなり沖に出ることはせず、まずは陸から100m以内くらい場所で練習をして、慣れてきたら少しずつ沖に出るようにしていきましょう。
また、「日本セーフティパドリング協会」公認のスクールで講習を受けてみるのもおすすめです。
波と風の予報・警報を確認する
事前準備として、出艇を予定している日の波と風予報の確認と警報が出ていないかを確認しましょう。
風が強いもしくは波が高いときには、船体の転覆、操船不能になり、陸に帰還することが困難になります。
予報は常に変化するので、最低でも出艇日の3日前から予報を毎日確認するようにしてください。
筆者は、風が5m以上吹く予報の日には絶対に出艇しないことにしています。
白波が立っていないか確認する
出艇ポイントに着いたときに、白波が立っていないか確認するようにしましょう。
なぜなら、白波が立っているときは、波の高さが1mを超えている状況だからです。
波は風の強いときに高くなり、5m以上の風が吹いているときに白波が立ちやすくなります。
カヤックの出艇条件として波が0.5m以下が望ましいので、白波が立っているときには出艇を諦めましょう。
また、沖では白波が立っていて、沿岸では立っていない状況でも、いずれ沿岸側でも白波が立つ可能性があるので、この場合も出艇は諦めるようにしましょう。
予報では警報も出ておらず問題ないとしても、釣り場に着いたら風が強く白波が立っていることがあるので、出艇前によく海の状況を見るようにしましょう。
予報と違うと感じたら出艇を諦める
予報の情報と違うと感じたら出艇を諦めるようにしましょう。
せっかく海に来たからカヤックに乗りたいという気持ちは筆者もよくわかります。
ですが、海は予期せぬことが起きますし、相手は自然ですので、コントロールもできません。
風、波が予報より強い、高いと感じたら無理に出艇しないようにしてください。
潮が動く時間を事前に把握しておく
潮が動く時間を事前に把握しておきましょう。
潮の満ち引きの動きによって流れが発生し、場所によっては流れが速くなり、あっという間に10mも20mも流されてしまいます。
特に、引き潮の場合に速くなる傾向にあります。
潮の動いている時間を把握しておき、潮が動いているときには周囲の景色や物との距離で流されていないかを細かく確認するようにしましょう。
カヤックの安全装備
それでは、海でカヤックの使用の際に、事故を防止するために必要な装備について紹介していきます。
海上保安庁のホームページの「ウォーターセーフティーガイド」を参考に、
- 絶対に必要な装備
- 揃えておいた方が良い装備
- 状況に応じた装備
の順に紹介するので、あなたの装備の参考にしてみてください。
海上保安庁ホームページ「ウォーターセーフティーガイド」より引用
推奨される装備品 シットオン(トップ)カヤック| ウォーターセーフティガイド (mlit.go.jp)
絶対に必要な装備
カヤックに乗るなら絶対に必要な装備について紹介していきます。
命を守るものなので、必ず用意するようにしてください。
ライフジャケット(救命胴衣)
転覆などで落水した際に、体に浮力もたらしてくれます。
落水したとき、服を着た状態では泳ぐのは困難であるのに加え、波や潮流によって思った通りに泳ぐことができないことが予想されます。
最低限水面に体を浮かせることができるように、カヤックに乗る際には、必ずライフジャケットを着用しましょう。
パドル(予備パドル)
パドルは、メインパドルと予備パドル2本を用意しておくと良いでしょう。
パドルは1本でもいいのですが、流されてしまうと、推進力を失い、帰還することが不可能になります。
万が一パドルが流されてしまっても、メインのパドルと予備パドルの2本持って行くことで、帰還できないという事態を回避することができます。
無くなってしまったことを考えて、2本用意しておくと安心です。
カヤックフラッグ
カヤックフラッグは、赤、オレンジ、黄色など目立つ色のフラッグで視認性を高めるのが目的です。
視認性を高めることで、近くを航行する船舶が見つけやすくなります。
不用意な接触事故を防止するためにも、フラッグは必ず取り付けるようにしましょう。
通信装備(防水パック入り携帯電話、ホイッスル)
落水して救助を求めるときに必要になるのが通信装備です。
携帯電話(スマホ)のように直接救助を呼べるものや、ホイッスルのように高音で周囲に知らせるものが、この通信装備にあたります。
通信装備は、首から下げられるようにしておきましょう。
理由は、落水時にポケットの中に入っている携帯電話を取り出すことは困難だからです。
首から下げていれば落水した際でも、すぐに取り出すことができるので、万が一に備えるために首から下げておくことを推奨します。
ウェア、ハット、手袋等
気候によってウェアを選ぶ必要がある
気温に合わせたウェアを選ぶ
ケガをしないために手袋をする
少しのケガでも治療することができない
とにかくケガをしないことが大切
水筒(飲料水)
暑くても寒くても持って行ってほしい
何時間釣りをするかにもよるが最低でも夏は2リットル、冬は1リットル程度もっていくことをおすすめします。
揃えておいた方が良い装備
絶対とまではいかないものの、揃えておくと良い装備を紹介します。
パドルフロート
パドルに付けるフロート材のことで、落水した後、カヤックへ再乗艇をする際に、カヤックの傾きを防ぐために使用します。
再乗艇するときにカヤックへ上がろうとすると、体重が端に集中するのでカヤックが傾き、上がることは困難です。
最悪の場合には、カヤックがひっくり返ってしてしまうこともあります。
パドルフロートの付いたパドルを支えにすることで、カヤックの傾きを防ぎ再乗艇しやすくしてくれます。
使い方については下の動画をご覧ください。
※動画を埋め込む
パドルリーシュ
パドルを落としてしまった時に、パドルが流されないようにカヤックに繋いでおくためのコードのことです。
パドルが無くなってしまうと移動はおろか、帰還不能に陥ってしまいます。
しかし、釣りに夢中になりすぎてしまうと、知らぬ間にパドルが流されている可能性があります。
パドルが流されないように、パドルとカヤックをリーシュコードで繋いでおくと、
仮にパドルが流されたとしても回収することができますので、揃えておいて損はないと思います。
排水具
船内に溜まった水を排水するためのアイテムです。
カヤックの種類によっては、船内に水が溜まって沈没する可能性があります。
排水具で溜まった水を排水することで、沈没することを回避することができます。
ヘッドランプ
ヘッドランプを使用することで、周囲にいる船舶に自身の位置を知らせることができます。
特に日の出前や、日没後の薄暗いときには、必ず着用するようにしてください。
ナイフ
緊急時にロープなどの切断に使います。
あまり長いものは必要なく、先のとがっていない刃渡り6㎝未満のものを用意してください。
牽引ロープ
他のカヤックをけん引するために使うロープです。
救出するもしくは、されることを想定して持っておく方が良いかもしれません。
ファーストエイドキット
船上でケガをした際、応急処置ができるように絆創膏などを備えておきましょう。
アンカー・シーアンカー
船が流されないように、止めておくのに使うのがアンカーです。
潮流をが速い場所や風が強い場所など、カヤックが流されてしまうような状況では、アンカーは必須アイテムになります。
水深が深く、アンカーが届かない場所では、シーアンカーを使うことをおすすめします。
シーアンカーは、水の中に入れるとパラシュートのように開いて水の抵抗を受けて、カヤックが流されるのを防止してくれます。
主に風で流されてしまうときに使うのが良いです。
実際に海に出て、流されてからでは遅いので、持っておくと安心です。
状況に応じた装備
携帯食
長時間パドルを漕ぐことでエネルギーが消費され、ハンガーノックを起こす可能性があります。
ハンガーノックとは、長時間運動をし続けると、エネルギーが消費され、エネルギーが無くなるとことで、極端に血糖値が下がる現象のことです。
血糖値が下がると体を動かす機能が低下し、動けなくなってしまいます。
最悪の場合には気を失うこともあります。
そうなってしまうと、帰還することは難しくなることは容易に想像できます。
そうならないためにも、長い距離を漕ぐなど、状況に応じて携帯食を持って行ったほうが良いでしょう。
安全にカヤックフィッシングを楽しむために
この記事では、安全にカヤックフィッシングを楽しむために必要なもの、ことを紹介してきました。
カヤックフィッシングに出かける際に確認してほしいことは、
- カヤック操船について勉強・練習をする
- 波・風の気象情報の予報・警報を確認
- カヤックの安全装備の確認
以上の3つは、カヤックに乗る前に必ず確認するようにしましょう。
今回紹介した内容を参考に、安全にカヤックフィッシングを楽しみましょう。
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